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夜のひと泳ぎ

日曜夜の営業終了後・・・・。

客が帰ったジムに残っての筋トレは、もう私の慣例となった。

いや・・・・もともと日曜の夜にトレーニングをしていた若手グループに、いつの間にか年長者の私が仲間入りさせてもらったというべきか。

今夜も私は、黙々と汗を流していた。

豊富なマシンやフリーウェイト、そして経験豊かな彼らのアドバイスのもと、私の身体は少しづつ、しかし着実に変化しつつあった。

と、1人が私に声をかけてきた。

「これから、グループレッスンの練習をするんですが、一緒にどうですか?」

グループレッスンとは、スタジオに客を集め、曲とインストラクター(我々のことである)の掛け声に合わせて行うエクササイズのこと。

内容や難易度などによって様々なものがあるのだが、その中でも中強度のグループレッスンの練習をするので、私も客の役になって参加しないかというのだ。

研修期間中にいくつかのグループレッスンを体験した私だが、その「中強度」がなかなかクセモノで、かなりハードなことを今は知っている。

躊躇する私に、若手は容赦しなかった。

「さ、やりましょう!」

仕方ない。

これも勉強だと腹をくくり、私は昇降台と10キロのプレートを手にスタジオに入った。

ハードな曲がスピーカーから流れ、若手インストラクターの掛け声とともに、スクワット、腕立て伏せ、腹筋を組み合わせた激しい動きが続く。

30分ほどのスタジオレッスンは、汗だくのうちに終わった。

さて、これから再び1人でトレーニングを再開しようとすると、また声をかけられた。

風呂で汗を流して、ラーメンでも食いに行こうという。

一緒に汗を流してテンションも上がっていたせいか、私は彼らに同行することにした。

だが、バスルームに行ってみると浴槽は塩素を大量に足したばかりで入浴は不可。

仕方なく、プールエリアに移動した。

私たちは汗まみれのウェアを脱ぎ捨て、プールに併設された温水シャワーで身体を洗い流した。

すると、ついでにプールでひと泳ぎしようかと言い出す者がいた。

誰も異論は唱えなかった。

閉館後で誰もいない上、照明も消されてほぼ真っ暗な屋内プールに、我々は歓声を上げて次々に飛び込んだ。

もちろん、全裸である。

夜のプールに忍び込んで泳いでやろうかなどと若い頃に思ったことはあったが、ついぞ実現はしなかった。

まさか、この歳でそれを・・・・しかも、勤め先で経験することになろうとは、私は思いもよらなかった。

エクササイズで火照った一糸まとわぬ身体で、思い切り水を蹴ってのびのびと泳ぐ心地は実に堪えられなかった。

服を着、仲間の一人の車に乗った私たちは深夜のドライブを楽しみながら目指すラーメン屋に到着。

旨いと評判の名物:油そばの大盛りを一気に手繰って解散と相成った。

若者といると、気分だけではなく、行動まで若くなってしまうようだ(笑)。