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事件というのは…

何だか変な夢を見て目が覚めた。

悪夢というほどではないが、後味の悪い、何かに急かされている夢。

抗がん剤治療が始まってから、そんな夢を見る事が多い。

眠れないので日記を書いている。

昔々、向田邦子脚本の『あ・うん』と『続 あ・うん』という連続ドラマを見た。

そのドラマの中で、登場人物の少女の語りに、こんな言葉があった。

「事件というのは、もっと大きな事件が起きると、あっという間に消し飛んでしまうのです」

うろ覚えだけれど、大体こんな感じ。

実は、ごく最近、心配事ができた。詳細について書くことは控えるが、私にとっては、かなり心配な事だ。

その心配事に気を取られているせいなのか、今日は、抗がん剤の副作用を、あまり強く感じない。

相変わらず手足は痺れているのだけど、どうでもいい様な気がする。

これと似た事が過去にもあった。

最初の乳がん手術をした後だった。

私の場合、乳がんの時には、抗がん剤治療はせずに、ホルモン剤治療だけだったのだが、ホルモン剤治療にも副作用はあって、倦怠感、軽い吐き気、頭痛、火照りなど、いわゆる更年期障害の様な状態が続いた。

当時はまだ30代だったから、かなりキツかった。

それでも、今、抗がん剤の副作用を経験してみると、大した事なかったと言えるけど。

私が乳がんの手術を受けてから半年も経たない内に、母の胃がんが見つかった。

しかも、スキルス性で、進行がんだった。

胃の全摘手術はしたものの、既に腹膜に飛んでいて、根治手術にはならなかった。

はっきり何ヶ月と知らされた訳ではないが、医師からは余命僅かのように言われた。

それからというもの、私は、自分の治療の副作用を忘れた。

結局、母は、抗がん剤治療が奏功したのか、それから7年近く生き延びたのだが、母の がん治療に注意が行っていたお蔭で、気づいたら自分の乳がんの事を忘れていた。

事件というほど大袈裟でなくても、物事というものは、何か新たな事が起きると、消し飛んでしまう。

そう感じた。

新しい心配事は嫌なものだが、この分なら、抗がん剤の副作用に対して いくらか耐性ができるかも知れないと期待しよう。